上述の「たけしのみんなの家庭の医学」で木野准教授は、「TCHと肩こりの関係」について解説しました。 TCHとは、"Tooth
Contacting Habit"(歯列接触癖)の略で、上下の歯を "持続的に"
接触させる癖のことを言います。
上下の歯の接触と言うと「かみ締め」や「食いしばり」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実際にはグッと強い力でかみ締めや食いしばりを行わなくても、上下の歯が接触する程度でも筋の緊張・疲労が生じるということで、TCHという名称が考えられました。
上下の歯の接触時間が長くなるTCHにより、筋肉の緊張や疲労、顎関節への負担が増え、肩こり、起床時症状(顎の疲労感、歯の違和感、口が開きにくいなど)や顎関節症、様々な不定愁訴の原因・憎悪因子となる可能性が考えられています。
(再発することが多い顎関節症)
顎関節症は一度治療しても、生活習慣が変わらないと再発することが多いと言われています。
今は症状がない人も、あごに負担をかける癖を続けていると、痛みなどの症状が出る可能性が高くなります。
生活習慣の見直しやストレッチなどのトレーニングは自宅でもできますので、顎関節症が思い当たる人は、取り組んでみることをおすすめします。
(音だけなら治療不要)
顎関節症の典型的な症状として、口を開け閉めする時に「カクン」という音や、「ザラザラ」というこすれるような音がすることがありますが、音だけならば治療の必要はありません。
顎関節で音が鳴るのは、膝の屈伸運動や首や肩を回した時に関節が鳴るようなもので、「耳のすぐ近くで鳴るので気になるだけで、あまり心配する必要はない」と木野准教授は語っています。
治療の必要が出てくるのは、口が大きく開けられなくなったり、口を開け閉めするときに痛みが出たりするようになってからです。ただし、顎関節症の治療を専門に行う歯科医院は少なく、大学病院などでは予約待ちですぐには治療が受けられないことも多いようです。 |